マルタカ印
株式会社加藤製作所
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塗装作業工程

加藤製作所 代表取締役社長兼、職人、加藤 俊司(44歳)の工場にて塗装の作業工程を見学してきました。 彼は10年程前、前塗装職人の方から塗装の仕事を受け継ぎ、塗装一筋に技術を磨いてきました。塗装の仕事は簡単そうに見えて、実は色むらなく均等に色を塗るのは至難の業です。彼の塗装によって缶に新たな衣装と魂が吹き込まれるようなそんな不思議な感覚さえ抱きました。オーダー毎に色をそれぞれ調色し、ひとつひとつ吹き付け塗装された缶は艶があり、手作業ならではの温かみがあります。 「社長自ら塗装?」と思われるかもしれませんが、たくさんの職人さんたちが心を込めて造った缶に外向き用の衣装をまとわせ、まるで娘を嫁に出せるよう準備をするのは自らの手で行いたいと加藤は言います。

(1)下準備

缶の表面を一つ一つ柔らかい布で拭き、缶の製作時に付着した目には見えない汚れや油分を取り除きます。一つ一つ手作業で拭いていかなければならないので、大変な作業ですが、油分等が付着していると塗料をはじくので、美しい塗装を施すには重要な作業です。

(2)塗料の調色及び硬さの調整

塗料は白と黒以外はすべてお客様のご要望に合わせて都度調色しています。色によって塗料の硬さが異なる為、濃すぎず薄すぎず、丁度いい硬さに調整するには十分な経験が必要です。

(3)塗装

缶をろくろに載せ、塗料を吹き付けます。塗料を吹き付け過ぎると塗料がたれ、吹 き付けが足りないと色むらになるので、均等に塗料を吹き付けなければならず、こ れが簡単そうで、結構難しいです。塗装ブースは 50 年前程、先輩職人の方がハン ドメイドで造ったオリジナルのもので、それを受け継いで大事に使っています。
一つ塗ったら、缶に傷が入らないよう、細心の注意を払い、ろくろから移動します。 このバランス感覚がまた職人技です。移動の時に使用するキリのような道具もボールペンの芯を使ってオリジナルで作っています。
※移動の際、蓋にキリで押さえた跡がわずかに残りますが、不良ではございませんので、ご了承下さいます様お願い致します。

(4)窯で焼く

窯で1時間半塗料を焼き付けます。窯は大きいものと小さいもの二つあり、それぞれ中の温度の上がり具合が異なります。缶の色やサイズ、外の気温によって大小の窯を使い分けます。また、窯の中でも場所によって温度が違うので、缶を焼く場所も考慮しなければなりません。
大小2種類の窯
焼き場所は缶の種類、サイズによって異なります。

(5)完成

完全に乾くまで自然乾燥させたあと、絵付師さんの元に運ばれ、デザイン画が施されます。